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2014/11/10
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抗凝固薬と抗血小板薬と歯科:後編

昨日の続きです。

血液をサラサラにするお薬は2種類ある、というお話をしました。

次に歯科のお話をします。
一般的には抜歯、つまり歯を抜くときのお話となります。
その他にも歯周治療や、インプラント手術などもありますが、“比較的侵襲の低い治療”に限局してお話します。

結論は抗血小板薬は問題にならないことがほとんどであり、抗凝固薬はコントロールをしっかり行うというのが現在の見解です。




ガイドラインが現在はPDFで見ることができますし、こちらも参考にして頂くといいと思いますが、抗血小板薬ではほとんど術後血が止まらないということはない、となっています。
ただし、十分な止血処置を行うという前提ですが。

ごく稀に患者さんで勝手に(医師の指示なしで)お薬をやめて抜歯に臨まれる方がおられますが、これは血栓ができる可能性があり、結果梗塞となる危険があるためおやめ下さい。
米国のWahlの文献調査では、ワーファリンを中止した493例・542回の抜歯のうち、約1%で血栓塞栓症が起こり、うち80%が死亡したとのことです。


先の記事でも書いたとおり、抗血小板薬は流れの速い動脈での作用で、抜歯に関与する歯周組織は動脈性の血管はなく、局所ではその効果は減弱されています。
ということが一点目です。
二点目は歯科麻酔で使用する麻酔薬も局所の止血効果が高いため、止血は十分に行うことが可能であると言われています。

ということで、抜歯は継続下で行うということが望ましいとされています。
抜歯を行う際は血が止まりにくいということは重々に承知して頂きます。

その他にも
●局所の炎症を抑える(炎症がある場合は止血しにくい)
●肝機能の異常の有無をチェック(肝臓では止血機構の要素を作っているため)
●適切な抜歯、止血を行う(出血のリスクを軽減させる)
●創面の縫合を行う
●多数歯の抜歯を避ける(出血する領域を減らす)
ということを考慮します。



実はひと昔前までは止めるというのが原則でした.しかしながら基礎疾患の悪化といったリスクが起こるため止めなくなりました.

時代によって薬との扱い方も変遷しています.
私たち歯科医師もその時代についていくことも大切な使命だと思います.

抗凝固薬の場合はPT—INRというものを参考にします。
当院では医科に紹介・依頼し2.0以内に調整するようにしてから抜歯を行います。
その他の処置については抗血小板薬と大きく変わらないです。


大きな処置など(多数歯の抜歯、大掛かりな外科処置、多数のインプラント埋入が必要な場合、全身状態が非常に悪い場合)は
口腔外科への紹介が望ましいと判断します。
ただし、それも基本的には歯が抜けないということはありません。


不明な点はご相談下さい。


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